Malinconia
魔女の目にも涙 後編
魔女の目にも涙 後編
しばらくして、手術室からラクシャータが現れた。
一睡もせず、ゼロの安否を心配していた幹部の人々は慌ててラクシャータへ駆け寄る。
「ラクシャータさん、ゼロ・・・ゼロはどうなりましたか?」
「大丈夫よぉ。弾は貫通していたし、そこまで危ない所じゃなかったから・・・まぁ、当分はKMFには乗れないだろうけどねぇ。」
ラクシャータはいつものようにキセルをふかすと、「中には入っちゃ駄目よ。ゼロ、仮面してないし、CCが怒るから。」と言う。
「ラクシャータさん・・・私はゼロの顔を知ってるわ。」
カレンがそう気迫のこもった表情で言うと、ラクシャータは「・・・好きにしなさい。」とだけ残して、司令室へと姿を消した。
カレンは中へはいると、他の人が入って来れないように、内側から鍵をかける。
長いソファーの上に、CCが体育座りの状態でいた。
顔を膝にくっつけて丸くなっているので、表情は見えない。
綺麗なライトグリーンの髪だけが、この部屋の中で美しく映えていた。
「CC。」
「・・・・・・カレンか。」
CCがゆっくりと顔を上げる。
その金色の瞳は、まだ涙で濡れており、少し赤くなっている目元が痛々しい。
そう思ったカレンも、瞳は泣いて真っ赤になっているのだが。
「貴方でも、泣いたりするのね。」
「・・・泣いてなどいないさ、私はCCだからな。」
CCはソファーから立ち上がり、目をごしごしと袖で擦る。
ベットの上に横たわっている仮面を外しているゼロ・・・ルルーシュに近づくと、その漆黒の綺麗な黒髪をさらっと何度か指を通して梳く。
「・・・ルルーシュ。」
CCは愛おしそうに、ルルーシュの黒髪に口付けた。
カレンは黙ってそのCCとルルーシュの様子を、ただただ見つけている。
そんな時、ルルーシュの長いまつげが僅かに揺れた。
「・・・しー、つぅ?」
至極のアメジスト色の瞳が微かに開かれ、おぼろげな瞳でCCを見つめる。
CCはひゅぅと息を呑んで、ルルーシュの生を確かめるように、頬に触れる。
「・・・死んでしまったのかと思った。」
「心配させて悪かったな、CC。俺の不注意なんだ。」
「本当にだ。もっとしっかり団員の管理をしておけ。この馬鹿ちんが。」
CCはそう言うと、ライトグリーンの髪をルルーシュに押しつけるようにして、ルルーシュの胸に顔を埋めた。
ルルーシュはライトグリーンに映える、CCの頭を優しく撫でる。
「ごめんな、CC。恐かったか?」
「当たり前だ。泣いて謝っても許さないつもりだからな。でも・・・」
「・・・・・・でも?」
カレンはその先の言葉は聞かずに手術室を後にした。
その日最後にカレンが見た、魔女の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。
”お前が生きていたから、今回だけは許してやる。”
魔女の目にも涙。